Imageline Software : FL Studio 2026 で広がるサウンドデザインの可能性
はじめに
こんにちは、Capchii です。
2026年8月29日(土)、初音ミク「マジカルミライ 2026」TOKYO 会場の企画展セミナースペースで開催される、FL Studio のセミナーに登壇いたします。今回のタイトルは、
「フックアップ presents 作曲 RTA! - Capchii が FL Studio で50分チャレンジ」
です。
名前の通り、FL Studio を使って50分という制限時間の中で、アイデア出しからアレンジ、ボカロの打ち込みまで進めて、1曲完成させることを目指します。また、実況・解説には、普段一緒にサークル「Popism」で活動している tekalu、Twinfield にも参加してもらいます。
普段の制作では、何時間もかけて音色を選んだり、アレンジをやり直したりすることもありますが、今回は50分しかありません。なので、当然ながら普段以上に「どうやって効率よく作るか」が大事になってきます。セミナーの準備をしながら最近触っていたのが、アップデートされた FL Studio 2026 です。
FL Studio2026 の新機能
FL Studio 2026 ではいろいろな新機能が追加されています。たとえば現在演奏されているコードを解析して、表示できるようになりました。コードを打ち込んでいる途中で、「これ何のコードだっけ?」と思って調べたり、別の画面を開いたりしなくても、その場で確認できます。

他にも、下記のいろいろな機能が追加されています。詳細はフックアップの公式ブログでも紹介されています。
- FLEX の大幅進化
- 自動同期でプロジェクトを守る、FL Cloud Project Backup
- Gopher の強化
- 新プラグイン&ループライブラリの拡張
- Chord Panel のアップデート
- ノートへのラベル機能
- オーディオ・クリップのゲイン調整
- Audio Logger の追加(マスター出力を常に過去数分間にわたってキャプチャーし続ける機能)
AI アシスタント「Gopher」の新機能
その中でも個人的に特に気になったのが、AIアシスタントの Gopher です。
Gopher 自体は FL Studio 2025 から、FL Studio の使い方について質問できる機能としてありました。FL Studio 2026 では、さらに実際の FL Studio の操作にも関われるようになっています。Mixer にプラグインを追加したり、トラックを整理したり、パラメーターを変更したりといった操作を、自然な言葉で指示できるようになってきました。
初めてこの機能に触れたとき、EDM のサウンドメイキングに欠かせない、よりアグレッシブな処理が簡単に可能になる魅力に気が付きました。
たとえば、サウンドデザインでこんな話があります。Zedd、Maren Morris との「The Middle」などの制作でも知られるプロデューサーデュオ Grey が、Splice のインタビューで紹介していた方法(参考文献)です。Waves の SoundShifter を使って、まず音を1オクターブ上げ、その後ろにもうひとつ SoundShifter を挿して1オクターブ下げます。つまり、
+12 → -12 → +12 → -12 → ……
という処理を何度も繰り返します。最終的には元の音程に戻っているはずなのですが、ピッチシフト処理を何度も通したことで音が少しずつ崩れていき、独特のローファイで水っぽいテクスチャーになる、というテクニックです。
Grey は「これを6回ほど繰り返す」と説明しています。
普通に考えたら「そんなに同じエフェクト挿す必要ある?」という処理ですが、実際にやってみると予想していなかった質感が出てきたりします。EDM の音作りでは、こういう少し乱暴なくらいの実験が意外と重要だったりします。ただ、実際にこれをやろうとすると結構面倒です。Pitch Shifter を挿して、+12にして、もうひとつ挿して、-12にして、それを何回もコピーして……。普通に作っているときならまだいいのですが、今回のような50分の作曲 RTA でこれをやっていたら、それだけでかなり時間を使ってしまいます。
そこで Gopher に、
「この Mixer Track に Pitch Shifter を複数追加して、+12、-12、+12、-12……と交互に設定して」
と指示します。FL Studio 純正の Pitch Shifter を使って同じような実験をしようと思ったとき、今まで何十回もクリックしていた準備を Gopher に任せて、自分はすぐに音を聴くところから始められます。

このように、Pitch Shifter を10個以上通してみたり、ディストーションを何段も重ねてみたり、一度ぐちゃぐちゃに加工した音をリサンプリングしてみたり。思いついた瞬間に試せるのであれば、「これ面倒そうだからやめておこう」となる回数も減ります。特に EDM では、サウンドメイキングの段階でどこまで大胆なことを試せるかが、曲のキャラクターにかなり影響します。
なので、Gopher によって作業が効率化されることで、むしろ今まで以上にアグレッシブなサウンドデザインを試せるようになるのではないかと思っています。
まとめ
当日のセミナーでは、実際に FL Studio を使いながら、50分しかない中で、どこを作り込んで、どこで次に進むのか。普段使っている裏ワザや FL Studio の機能に加えて、こうした新しい機能をどこまで制作に取り入れられるのかも、個人的には楽しみにしています。
普段の制作で使っている機能や考え方も含めて、そのままお見せする予定です。途中で何が起きるかは僕にも分かりませんが、それも含めて RTA ということでお手柔らかにお願いします!(笑)
「フックアップ presents 作曲 RTA! - Capchii が FL Studio で50分チャレンジ」は、2026年8月29日(土)15:00〜16:00、初音ミク「マジカルミライ 2026」TOKYO 会場で開催されます。普段 FL Studio を使っている方はもちろん、ボカロや EDM が好きな方、制作に興味がある方にも楽しんでもらえる内容にできればと思っています。
ぜひ会場でお会いしましょう!
初音ミク「マジカルミライ」とは
『初音ミク「マジカルミライ」』は、初音ミクたちバーチャルシンガーの3DCGライブと、創作の楽しさを体感できる企画展を併催したイベントです。
初音ミクたちをハブ(きっかけ)として、「創作」というキーワードで繋がる場所、その楽しさを体感できる場所を目指して展開。
2013年から毎年開催されており、昨年2025年までの13年間で累計58万人以上を動員。2026年は「湖のソナーレ」をテーマに、浜松・大阪・東京の3会場で開催します。
https://magicalmirai.com/2026/
主催:東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYO MX)
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
日時(初音ミク「マジカルミライ 2026」TOKYO 企画展)
- 2026年8月28日(金)9:00 ~ 18:00
- 2026年8月39日(土)9:00 ~ 18:00
- 2026年8月30日(日)9:00 ~ 18:00
* 最終入場時間は、17:30となります。
** 企画展への入場には、企画展チケット(有料)が必要となります。
企画展チケットの詳細はこちら
会場
幕張メッセ 国際展示場(1~3ホール)
千葉市美浜区中瀬2-1
* フックアップブース番号 : E6
** 9ホールはライブ会場。1~3ホールが企画展会場となります。
イベント詳細
初音ミク「マジカルミライ2026」公式WEBサイト にてご確認ください。
Capchii
様々なジャンルをインプットしクロスオーバーさせた楽曲を製作しているトラックメイカー。一貫して緻密かつ明るくキャッチーなトラックは多くのリスナーやクリエイターから評価を受け、YouTube 上で総再生数700万再生を超える。昨今では VOCALOID のオリジナル楽曲制作を軸に、VTuber/ボーカリストへの楽曲提供やリミックスなどのコラボレーション、商業音楽ゲームへの楽曲提供など、様々なフィールドで活動を行っている。特に、クラブミュージックを軸としたパンチのあるサウンドとパフォーマンスには定評があり、2023年には1年で20本以上のギグをこなしながら、4000人規模の野外フェスや海外での出演を果たす。


